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【書評】『最高の結果を引き出す質問力 著者: 茂木健一郎』結果を出している人の脳の使い方

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著者: 茂木健一郎
出版社: 河出書房新社
発売日: 2016/11/15

この本の「質問」とは、他人に対する質問と、自分自身に対する質問について解説されています。

どちらかというと、他人に対する質問よりも、自分自身に対する質問の仕方について、より多くのページが割かれています。

この自分自身に対する質問の仕方とは、今後の人生の充実度に大きな差をもたらすくらい重要なコトなので、ぜひとも抑えておきたいオススメの知識です。

僕は自分を見つめ直す時に、この本を読み返して、原点に戻っています。

 

著者について

茂木健一郎:1962年、東京生まれ。脳科学者。ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー、慶應義塾大学特別研究教授。東京大学理学部、法学部卒業後、 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻課程修了。理学博士。理化学研究所、ケンブリッジ大学を経て現職。専門は脳科学、認知科学。

 

「メタ認知」の重要性について

良い質問をするには、メタ認知をすることが欠かせません。

メタ認知とはどのようなものかというと、

「メタ認知」とは、自分の感情を冷静に観察し、「今、自分の状態はこうだ」「自分はこんな感情を持っている」と気づく力のことです。
なんとなくモヤモヤしたり、イライラしたりしていても、「自分はこんな感情でいるのだな」と言葉で認識することなく過ごしている人が多いようです。自分が「なにかイヤだと思っている」とまずしっかりと把握しないと、「変えよう」という気持ちになることはできません。

そして、このメタ認知を利用して、良い質問を導き出します。

どのようにして良い質問が生まれるかというと、

  • 現状への違和感を持つ感情力。
  • それに気づくメタ認知力。
  • 「どうするか」考える論理の力。

これらが一体となっていい質問が生まれます。

あなたは日頃から「メタ認知」ができているでしょうか?

「メタ認知」ができていないと、良い質問ができません。

 

認知的不協和について

良い質問を自分自身にするには、自分の気持ちに正直になるために、認知的不協和について理解すると良いです。

認知的不協和とは、

居心地の悪さを解消しようとして、ムリに正当化をしてしまう。

これを「認知的不協和」と呼びます。みなさんにも思い当たることがありませんか。

 

たとえば、とても大好きで「いいところばっかり」の人がいたのに、フラれてしまった途端に、「あんなヤツ最低だ!」と思い込むようになってしまう。

 

「あいつは最低なヤツだ」という自分の信念は、根拠のある「事実」だと思い込んでいますが、実は、「手に入れることができなくて悔しい」という感情からつくられているものです。

 

だからこそ、自分の感情をごまかさないで、ありのままに気づくこと、すなわち自分の感情を素直にメタ認知することがとても大事なのです。
居心地の悪さを正当化してしまうのではなく、「自分は今これが悔しいのだな」「これで傷ついて悲しいのだな」とそのままにメタ認知して、「ではどうしたらいいだろう?」というポジティブな方向へ進む。そうするのが、質問なのです。

自分の感情をごまかさない。これはとても勇気が要ることですし、すぐに身につく能力ではありません。訓練が必要です。

人は大抵、自分の感情が世間体に合わなかったり、都合が悪い場合、自分の本当の感情から目をそらしてしまう。

正直に自分をメタ認知すれば、自分の道を開くことができるようになります。

 

質問とは極めてクリエイティブな行為

自分自身に質問をすることで、自分の人生を理想的につくり上げることができるようになります。

質問をしていくことで、自分の人生を変えていく。質問で自分の人生を自由につくっていくと言っても、決して大げさではありません。
質問をしなければ、自分で自分の人生をつくり出すことはできません。ある意味では、他人がつくったルールや常識、やり方に従って、唯々諾々(いいだくだく)と人生を送ることになります。
創造性も自由もない。そんな人生を送ることになりかねません。
世間体や常識、誰かがつくったルールの範囲内で人生を送るのですから、本当の意味で自分の人生を充実させることが難しくなります。それは、決して居心地のいいものではないはずです。自分の人生を無為にすることにつながっていきます。

 自分の理想の人生を、自分への質問を繰り返すことでつくりあげるのです。

 

「マインドフルネス」は質問力を上げるための助力となる

マインドフルネスについても書かれてあります。

マインドフルネスについては世界中で注目されていて、よく目にする言葉だと思います。

マインドフルネスは、質問力を上げるためにも最適だと解説されています。マインドフルネスについて簡単に説明すると、

マインドフルネスとは、現在、環境の中で起こっていること、また、自分の中で起こっていることをありのままに見られる心の状態のことを言います。

マインドフルネスでは、ただ起こっていることに「気づく」だけに留めて、一切「いい」「悪い」の判断をはさまないようにします。

「あの人が今こう言っている」
「私は今こう思っている」
「虫が飛んでいった」
「足がかゆい」

といったようなことです。

マインドフルネスは、「自分自身の状態を自覚するメタ認知能力を上げるために役立つ」とのことです。

 

意識に無意識の邪魔をさせない

自分の生活を本当に変えたいと思ったら、問題をありのままに認識して、「意識に無意識の邪魔をさせないほうがいい」そうです。

無意識はすでに答えを知っているので、それを自覚するように努めると良いと解説されています。

 

あと、次の引用は、結構、皆さんに当てはまるのではないでしょうか?

欠点であれ、汚点であれ、醜さであれ、能力不足であれ、暗い過去であれ、素直に意識化ができている人の人生は、少なくとも精神的に安定しているように見えます。

自分で自分を許せています。

普通は隠蔽してしまう、一番向き合いにくいところを客観的に眺められている人は、意外にモテます。・・・(略)・・・自分の欠点がよく分かっていて、それが相手に安心感を与えるからです。
「悪いところを必死に隠そうとしているけれど他人にはバレバレ」
そういうことはよくあって、それだと、「なんか触れてはいけなさそうだ」と人は遠ざかってしまいます。
逆に自分の欠点が許せている人は、相手に緊張を強いないし、

「こちらの欠点も許してくれるのではないか」

と安心して側にいられるものです。

人生を安定させ、うまく進めていくためには、自分の問題と正直に向き合うほうがいいのです。

 

とのことです。この一節は面白かったですね。

 

将来、何をしたらいいのか分からない時の自分への質問

これからどんなことをして生きていけば良いのか分からないときは、自分に次のような質問をすると良いそうです。

「今まで自分はなにに感動してきただろうか?」

なぜ、自分が何に感動したのか?という質問をすることが大事なのかと言うと、自分がどういう人間か分かることに加えて、自分がかつて感動したものについてなら、努力に耐えられるからだそうです。

 

終わりに

自分の気持ちをごまかさず、正直に見つめたほうがいい。人は自分の気持ちに気づいているのに、都合の悪いことについては目を背け、つい自分の気持ちをごまかしてしまったりするけれども、例え都合の悪いことでも、正直に向き合う姿勢が大切で、それこそが、自分を知るキッカケになる。

毎日の生活の中で少しずつ質問をする練習をしていくことで、自分の原点を探し、人生が素晴らしいものになっていくわけです。